春の如く。
 
 
 
■ 駐車場から出ていくとき、指先が冷たかった。
 そろそろ皮の手袋がいるかな。
 そういえばどこに仕舞っただろう。
 そんなことを考えながらシャッターが開くのを待っていた。
 

 
■ 旧い車のダッシュボードがきしきしと鳴る。
 冬になるといつもそうだ。一度芝浦のディーラーで見てもらったのだが、完治はしていない。デフオイルは夏の手前に交換して、夏の盛りには暫く車を預けた間、プラグなども替えておいた。
 そろそろタイヤかな、という按配なのだが、なにせ結構な値段がするので模索しながら冬がきている。
 
 
 
■ 動けばなんでもいいという考えも一方にあり、趣味と実益の調和という言い訳もあり、保つには手間も暇もかかるけれども他に乗りたいものも本質的にはない、というところでここまできている。
 新しいのは、乗ってみると一週間でもういいやとなってしまって、埃を払ってやろうという気にならないのだから、おかしなものだった。