口笛のきこえる波止場。
 
 
 
■ きこえる、という字は漢字だったかも知れない。
 私は金を払い、洗車場から通りに出た。
 三十を少し出た作業服の彼が、ホンモノなんですねと言う。
 随分と前、似せることが流行ったからである。
 

 
■ 後輩のような彼には後遺症が残った。
 さびしいと電話をしてくる。
 最近は途絶えがちで、どうしているのか、おふくろさんは、とも思う。