風葬の月。
 
 
 
■ 大人になると、ひとりになることがむつかしい。
 あれだけひとりだったのにである。
 

 
■ 遅くまでやっている洗車場に車を持っていって、洗ってもらうのを眺めている。
 洗わなくてもいいのだが、本当はなるべく水を使わない方がいいのだが、何か無駄をしたかったのである。
 この近くに病院があって、訳あって倒れた後輩のような彼を何度か見舞いにいった。何年前になるだろうか。
 なにがいる。むつかしい本とジャージ。どうして。
 少し格好をつけたいから。
 馬鹿だなおまえ、と口にしたかったのだが、書棚のようなところから何冊かを選び、彼のサイズに合うものを買いにいった。