青い石の夜。
 
 
 
■ 雪にならず雨のままだった。
 喪中葉書が届いていた。
 昔たいへんにお世話になった方の奥様からである。
 最後に話したのは数年前で、ある方の葬儀の花輪をどうするか、ご相談の連絡を差し上げた時である。このところ入退院を繰り返されていて、実は今もチューブを入れていると奥様が言われていたことを覚えている。
 電話口では矍鑠とされいてた。昔のままの声である。
 ただ、時々涙もろくもなっておられた。
 
 
 
■ 今いるところから大きな銀杏の樹がみえる。
 数枚を残して黄色い葉はみな落ち、その下に楓の赤色がうずくまっている。
 赤は次第に茶を帯びていく。
 影になった常緑樹は錆びた緑色で、ところどころ黒に近い。