戦時標準船。
 
 
 
■ デザインであれシステムであれ、今ある技術はどこか不完全なものだという事実を時々忘れてしまう。
 制約の中で、ギリギリまでチューンしてしまう。
 こうした傾向は私にもあって、いやいやこれはいかんなと、折に触れ「水をさす」作業が必要になってくる。
 頭を冷やすといいますか、さて目的はなんだったのかなという按配である。 
 
 
■ 旧軍、例えば海軍の艦船なんかに詳しい方は思わずにやりとされることだろう。
 具体例を挙げるのはメンドウなのでやめておくが、武装を山盛りにして重心が上にいきすぎ、荒天でひっくりかえった駆逐艦があった。
 喫水の辺り、あたかも日本刀の反りのようで美しいのだが、作るには何倍もの手間とコストがかかる。
 
 
 
■ 半分は精神性の問題なのである。
 どうも日本人と括っていいのか、例えば私は、細部に美を見出したりする傾向があって、旅館の床の間に文句をつけたりするのだった。