月夜の汐路のむこうから 2.
 
 
 
■ 風の強い秋の夜には口笛が似合う。
 雲が流れているからだ。
 
 
 
■ とあるビルの近くに車を停め、交差点を歩いていく。
 交番があって警官と眼が合う。かつては互いにガンを飛ばしたとかいうのだけれども、警官が随分年下になってからは、おつかれさまですとにこやかに会釈する。
 おまわりさん、ここ三脚立てるのは申請いるんですか。
 彼は近づき、いや個人として楽しむ分には問題ないでしょう、と答えた。