稲妻 4.
 
 
 
■ 趣味の問題なのだろうが、私は背の高いビルには住まないだろうと思っている。
 壁が薄いからじゃない。
 防犯体制が、というようなことでもない。
 
 
 
■ ここ10年近く、ブロックひとつ離れたところが急に寂れ、荒れた感じのする一画が増える。一時は時間制の駐車場になるのだが、そこにあるのだと思っていけば、黄色と黒のロープが貼られ、処分されない空き缶の袋がいくつも積まれている。
 わずかに離れたコンビニの灰皿前では、女が煙草を吸っていた。