流行。
 
 
 
■ 吉行さんに「流行」という短編がある。
 戦後まもない頃、次から次へと、流行の服を換えるようにその思想や言動を移していった男や女達に対する違和感を作品化したものだった。
 よるべなき20代後半から30代はじめ。
 港区にある古いビルの窓から、東京タワーを暫く眺め、冷たい布団の中に潜って読み耽った覚えがある。