幕末百話。
 
 
 
■ 流れで、そういうものを読んでいるわけである。
 この辺りの按配というのは、ある種気配のようで、実は震災と底の方でかかわりがある。
「仙台学 vol.11」の中で、確か高橋義夫さんが宮沢賢治と永井荷風、それと岡本綺堂のことに触れていて、作家的センスというのはこういうものだと思った。
 
 
 
■ 年表というものがないので困るのだが、つまり歴史的な事実と近代化の過程、そこにおける表現の形態というものはどこかで重なっている。
 荷風が本格的に江戸趣味に走ったのは、大逆事件もあっただろうが、実は関東大震災の後である。
 岡本綺堂がモダニズムと江戸とをバランスよく対比させた作品を発表したのもその頃だった。
 いわゆる怪談物の流行もしかりである。
 関東大震災の前後、例えば山頭火などはまだ何をしていたか分からず、路面電車の前に両手を広げた立ちふさがったことがあると資料にはある。