東北の鬼 2.
 
 
 
■ 東北地方の面というのは、どこか荒削りである。
 歴史と風土に関係があるのだろうが、蝦夷あたり、縄文の匂いがする。
 
 
 
■ 数年前の夏の終わり、私は恐山ふもとをうろついていた。
 途中、港町があって海岸線があり、海産物の加工工場と廃船のようなものを見た。
 山の風情は伊勢辺りとは全く異なり、例えば土の色や粒なども微妙に異なっている。
 ここで暫く暮らせるだろうか。
 数秒だけそんなことを考えたが、もちろん思い上がった気分に近いのである。