君あしたに去りぬ。
 
 
 
 ゆふべのこころ千々に何ぞはるかなる
 君をおもふて岡のべに行きつ遊ぶ をかのべ何ぞかくかなしき
 蒲公(たんぽぽ)の黄に薺(なずな)のしろう咲きたる みる人ぞなき
 雉子(きざす)のあるかひたなきに鳴くを聞けば 友あり河をへだてて住みにき
 
 
 
■ 与謝蕪村の挽歌の一節である。
 伝統的な定型詩の枠をこえた表現だろう。
 
 遅き日のつもりて遠き昔かな