自転車とスマホ。
 
 
 
■ 高田渡さんに「自転車に乗って」という脱力する歌がある。
 自転車に乗っておうちにかえる。
 という奴である。
 三角漕ぎという大人の豆腐運搬用自転車を、子供(というよりもガキであるが)が乗りこなすための技もあって、それはそれなりに懐かしい。
 
 
 
■ いつだったか都心部で自転車の事故をみた。
 レーサー風情の細いタイアが折れ曲がり、30代の男性がヘルを被ったままアスファルトに横になっていた。
 確か麻布界隈だったと思う。
 自転車は最近流行の型である。フレーム単体で10万などする。
 車の屋根にそれを載せ、何処かへいったら乗り換えるなどということを間に受け、夜の首都高のPAにその姿でこられた足立ナンバーの911乗りの夫婦もおられた。
 見せたかったのだろう。
 座敷犬を連れてきて練り歩き、後始末しないで帰るよりはいいけれども。
 
 
 
■ 震災後、都心部で妙に自転車が増える。
 Ecoであり、天下無敵であり、身体にもいいのだとばかりに、交差点を斜めに横切っている。
 微妙な差異に拘るのが男の性だとするならば、構成するパーツひとつひとつが精度の高いものではある。
 後ろから眺めていると尻がサドルの5倍はある。
 あれ、あそこの病気には悪いでしょうね。
 そうだろうねぇ。
 私は、先日長年の付き合いを外科的に切ったという先輩を脇に乗せていた。