割れた3月。
 
 
 
■ ガスのこともあり、暫く車に乗らなかった。
 それは正確ではなく、小型のそればかりを使っていたのである。
 黄色い砂の降る午後、駐車場にいってエンジンをかける。
 毛バタキでなぞっている間、開けた窓からキーをひねった。
 
 
 
■ 爆発するような音が響く。
 尋常ではない間隔の揺れと生ガスの匂いで、私は急いでエンジンを切った。
 嘗めていたんである。チューンされたエンジンに必要とされる儀式を踏まなかったのである。
 運転席に座り、キーをひとつふたつ捻り、ポンプからガスを送る。
 アクセルペダルを2-3回床まで踏み、ゆっくりとキーを廻すとこんどは正常にかかった。アイドルを5分。水温と油温があがってきたのを確認して時々踏んでみる。
 問題なさそうである。ただ、一瞬油膜が切れていたかも知れない。