懐かしきものの陰。
 
 
 
■ 緑坂 5258でひいた西条八十の詩の末尾はこうである。
 
いつの日にか、復(ま)た
かの白鳥のごとく遁(のが)れゆきし路を見んと。
 
 
 
■ 周囲が瓦礫だとする。
 街灯もなく。
 そこに薄っすらと浮ぶ白い路がある。
 それは幻視なのだが、白い鳥が暗闇の先に飛び去っていく。