わらじ銭。
 
 
 
■ 地蔵堂の辺りへいくと、樹木の枝に草鞋がぶら下がっている。
 これは霊界への旅に死者が用いるものである。
 穴の開いた銭がいくつも。あとは手ぬぐいが無数にあった。
 茂みの中に入り込んで撮影していると、背中のあたりが寒くもなるが、この時の異和のようなものは今も矩形のスペースで丸まっていると思い出すことがある。
 
 
 
■ 早く死んだ身内。
 そんなものがもしあるのだとすれば、彼や彼女が語りかけてくるような夜もある。
 これは日頃の信仰や信心とは別のもので、誰もがもっている記憶のようなものかも知れない。
 恐山 No.30 の作品では、迷った末、若干のデザイン処理を加えた。