湯治場に篭もる。
 
 
 
■ 島尾さんは書いている。
 一夏か一冬、湯治場のような温泉に篭もり「大菩薩峠」全18巻を読みふけりたいものだと。
 
 
 
■ この気分は痛いほど分かる。
 それができるのは、青年期から中年壮年にさしかかった時のナカヤスミのような頃合で、例えば致命的ではない外傷や痔の手術などで、暫く入っているような時だろうか。
 西成の階段にいた彼らが時代小説を手にしていたという話は聞かない。