七月の桜の下。
 
 
 
■ ベンチに座っていた。
 文庫を持ってこなかったことをすこし悔やんだ。
 向こうには、ドレッドの髪型をした本国の妙齢が、真っ白なシャツを着て多分ペーパー・バックを捲っている。
 
 
 
■ 足元に蟻。
 煉瓦の隙間に砂を盛り上げている。
 隣にダンゴムシ。