どくろ杯。
 
 
 
■ 緑坂の古くからの読者なら、この題名で何度か書いていることをご存知だろう。
 金子光晴という詩人は、どうにも仕方のないところもあるのだが、それは私生活その他の上でである。
 作品それ自体、いい気になっていた大正期の半ばお坊ちゃまが、頭を殴りつけられるような体験を幾度も経て、滴り落ちる脂汗が結晶のように固まったものだという風に私には思えている。