出羽三山 2.
 
 
 
■ 縄文の火炎土器というのは美しい。
 弥生式の抑制された美とはやや違う、管理されていない美意識と生活がそこにある。
 蝦夷との境目が、越後や相津(会津)の辺りで、確かに北へ向かうと、不思議な自意識と生活と、そうして山々があるのである。
 それは、例えば紀伊の山中で立ち止まっていた頃、背中の辺りを撫ぜていく、見知らぬ女の指先に似ていた。