いまだすべてを信ぜず。
 
 
 
■「日本は亡国として存在す。われもまたほとんど虚脱せる魂を抱きたるまま年を送らんとす。いまだすべてを信ぜず」
(山田風太郎著:講談社文庫:1994年第5刷:528頁)
 
 
 
■ 緑坂には若い読者もいるので、その終末だけを引用してみた。
 若書きだとか饒舌だとか、そんなことは瑣末である。
 私はすこしうんざりしながら、時代の外側にひっかかっていた若い男の自我を考えていた。