湯女絵図 2.
 
 
 
■ 湯女というのは江戸の頃生まれた一種の遊女である。
 ここから微細な薀蓄に流れてもいいのだが、緑坂の読者には野暮なことだろうからやめにする。
 そういうサービスのようなものがあったということで。
 どこかで江戸の町の独身率を調べた文献があったような気もするが、今、捜すだけの気力はない。
 
 
 
■ 風呂あがりにさくらを眺める、というのは思い切りベタである。
 俗の極みのようなものだが、それはそれ、昔の銭湯の背景に富士山があったり桜の絵柄が描かれていたことと相通じるところもあるだろう。
 一般に、市井の人たちが花見をするようになったのは、秀吉の頃からと言われる。
 吉野の花見、醍醐の花見など、残る絵巻には人物よりも桜の方が大きく描かれていた。