三四 半神
 
 
 
 
■ 上海の夜は遅い。通りは比較的混んでいた。
 Eタイプのライトをハイビームにし、北沢の車を追った。
 一体になった丸い四つのテールランプが目印だ。
 みえた。
 黄浦江の方角に向かっている。
 ちらちらと東方明珠が視界に入る。
 背の低いガンメタリックの車は、センターを時々オーバーしながら通りを擦り抜けようとしていた。
 ネオンが後ろに流れる。クラクションが聞こえる。先はT字路だ。
 右折した。
 グラマラスで端正な腹がみえた。
 フェラーリだ。
 脇腹に大きくダクトが抉られ、鼻先が長い。
 走羽はEタイプの助手席に背中を沈めている。
 イングラムとベレッタのマガジンを点検し、音を立てて押し込んだ。膝の上に置く。