■ 幾つもの武器を走羽は机の上に並べた。
「イングラムM11。これは室内で使ってください。別に当たらなくてもいい。引き金を引くのは二秒までにすること」
 銃身が数センチしかない機関銃である。ベレッタよりもほんの僅かに大きい。みているとブリキのオモチャのようでもある。弾薬を詰める時に使うマガジンローダー、銀色のサプレッサーも別にあった。
 サプレッサーは消音器であり、イングラムの先端に廻し込むことによって弾速を低下させ、銃口、マズルの反動を抑える効果があるという。
「毎分千発プラス。畳めば上着の下にも隠せます。消音器は反動が酷すぎる時に使います。ベレッタは背中のベルトに挟んでください」
 私は言われるままに拳銃をベルトに挟んでみた。ゴリという音がして骨に当たる。ベルトをすこし緩めるべきか考えた。
「どうしてアメリカ製の武器ばかりなんだ」
 走羽は腰にまくような黒いナイロンの弾倉入れを取り出しながら答える。
 
「こうした場合、問題は質です」
 その理由はわかる。けれども、どこから入手したのだろう。台湾や香港にルートがあるのだろうか。
「あとはM203Mグレネードランチャーとクレイモア対人地雷をバンの中に置いてあります」
 私は些か呆れた。ほとんど海兵隊の武器だ。
 
「戦争でもするのか」
「ええ、局地戦にはなりますよ」
 走羽は無表情だった。