水に月 2.
 
 
 
■ 万遍なく漠然とする能力というのがあって、仕事をする前、そういう時間を持とうとする。実際にデザインに入ってしまうと、理論的な部分も大きいのだが、ここにこの色を置くなどということは、究極的には感覚である。
 その感覚がどこからくるか、ということを考えていると、西麻布で飲んだ一杯のペルノォのストレートだったり、バーの癖に焼酎のボトルを並べているのが嫌だなと思うこころであったり、男だけでのろのろと歩く冬のアスファルトに含まれる石英だったりする。