シナトラと雲。
 
 
 
■ 西の方角に雲がうずくまる。
 東京は相当に乾いていて、山を越えた辺りでは雪が細かくなっていると聞いた。
 私はといえば、デザインのモチーフを考えながら漠然としている。
 細かな仕事でもやるべきことは何時もあたりで、そのきっかけを掴むまでは内側に篭もる。
 かたちから入ったり、概念をもてあそんだり。
 胃袋の辺りがちりちりするのだが、なにいつものこと。
 廻り道しながら、何本かの線がバランスを取るのを待っている。
 さてこれが済んだら地下へ降りよう。
 二ヶ月洗ってない車に乗って、ちょいとばかり資料を見にゆく。
 まだ頬の細いシナトラが「もう五分ね」を歌っている。