行方 4.
 
 
 
■ 国立能楽堂だったか、皇居を見下ろす位置にあれこれが建っている。
 その庭で煙草を吸っていた。
 すぐ逃げられるように、車はハザードを点けて近くに置いてある。
 確かここに御学友の誰某がいるのだが、相手は赤門からの方なので刺青が違う。
 こちらは、いくつかを門前払いされてシノいできた。
 架空の指は何本も短い。
 
 
 
■ 警邏の警官が通る。
 おつかれさまです。
 と、こちらから頭を下げる。
 職質されないことが、歳を取った証しなのかとも思う。