しばらく坂道。
 
 
 
■ 特別、花見というものをしない。
 何故かというと、埃っぽいのが神経にこたえるからだが、春というのはざらついているものである。
 昨晩雨が降って、風がとても冷たかった。
 開花はまだだろうと思っていると、曲がり角を過ぎて白い靄のような塊が広がった。横目で眺め、その先を急いでゆく。
 暫く坂道が続く。